建玉を大きくすると成績が崩れる理由と、自分の記録での確かめ方
「100株なら勝てるのに、1,000株にすると勝てない」。デイトレでよく聞く話です。同じ銘柄、同じやり方のつもりでも、建玉(持っている株の金額)の大きさによって、成績が変わることは珍しくありません。この記事では、その理由と、自分の記録で確かめる方法を紹介します。
建玉の大きさ別に集計した例
200回の取引を、決済額の小さい順に4つのグループ(各50回)に分けて集計した例です(説明のための架空の数字です)。
| 建玉の大きさ | 勝率 | 合計損益 | 1回あたり | 最大損失 |
|---|---|---|---|---|
| 小(〜40万円) | 58% | +62,000円 | +1,240円 | −9,000円 |
| やや小(40〜80万円) | 56% | +48,000円 | +960円 | −14,000円 |
| やや大(80〜150万円) | 52% | +9,000円 | +180円 | −31,000円 |
| 大(150万円〜) | 46% | −131,000円 | −2,620円 | −68,000円 |
建玉の大きさ別、1回あたりの損益
全体の合計は−12,000円です。しかし内訳を見ると、建玉が小さい3つのグループはプラスで、大きいグループだけが大きく負けています。建玉が大きいほど勝率が下がり、最大損失も大きくなっています。「やり方が悪い」のではなく、「大きく持ったときだけ崩れている」ことが分かります。
建玉が大きいと成績が崩れやすい理由
1. 損切りをためらいやすくなる
同じ1%の下落でも、40万円の建玉なら4,000円、200万円なら2万円の損失です。金額が大きくなるほど、損失を確定させることへの抵抗が強くなり、「もう少し待てば戻るかもしれない」と損切りが遅れがちになります。その結果、負けが一段と大きくなります。
2. 約定の価格がずれやすくなる
板(売り買いの注文)が薄い銘柄や時間帯では、大きな数量の注文ほど、複数の価格にまたがって約定します。成行や逆指値で損切りするとき、想定より不利な価格で約定する幅が大きくなります。
3. 「自信があるとき」や「取り返したいとき」に大きくしがち
建玉を大きくするのは、たいてい「これは自信がある」と感じたときか、直前の負けを取り返したいときです。しかし、自信の強さと結果は必ずしも一致しません。負けを取り返そうとして大きく建てた取引は、焦りから判断が雑になりやすい場面でもあります。
4. 1回の負けが、次の判断に響く
大きな負けを出した直後は、気持ちが落ち着かないまま次の取引に入りがちです。1回の大きな負けが、続く取引の質まで下げてしまうことがあります。
自分の記録で確かめる方法
成績分析ツールにCSVを読み込むと、「建玉の大きさ別の成績」の表が出ます。取引を決済額の小さい順に並べ、回数が同じになるように4つのグループに分けて、それぞれの勝率・合計損益・1回あたりの損益・最大損失を表示します。見るポイントは次のとおりです。
- 大きいグループほど、1回あたりの損益が下がっていないか
- 大きいグループで、勝率が下がっていないか
- 大きいグループの最大損失が、ほかと比べて飛び抜けていないか
注意点として、決済額は株価の水準にも左右されます。値がさ株(株価の高い銘柄)ばかり取引する期間と、そうでない期間が混ざると、建玉の大きさの違いが「銘柄の違い」を表していることがあります。気になる場合は、ツールで期間を絞ったり、銘柄別の表とあわせて見たりしてください。また、各グループの回数が数十回に満たないうちは、差が偶然である可能性も高いです。
崩れていると分かったら
大きいグループだけ成績が悪いと分かった場合、よく使われるのは、成績が安定しているグループの範囲に建玉の上限を決める方法です。上の例なら、「1回の建玉は80万円まで」のように決めて、しばらくその範囲で取引し、もう一度集計して変化を確かめます。
上限は、株数計算ツールの「建玉の上限」に入れておくと、損切り幅から計算した株数が上限を超えないように調整されます。建玉を増やしたくなったときも、一気に増やさず、少しずつ増やして、そのたびに大きさ別の成績を確かめると安心です。
まとめ
- 同じやり方でも、建玉が大きくなると成績が崩れることがある
- 理由は、損切りのためらい、約定のずれ、大きく建てる場面の偏りなど
- 決済額で4つに分けて集計すると、どの大きさから崩れるかが見える