成績を壊すのは数回の大負け ― 「大負けの集中度」の見方
デイトレの記録を振り返ると、「ふだんはそこそこ勝てているのに、月末に集計するとマイナス」ということがよくあります。その原因は、毎日の小さな負けではなく、ごく数回の大きな負けであることが少なくありません。この記事では、その偏りを数字で確かめる方法を紹介します。
100回の取引で考える
次のような100回の取引を考えます(説明のための架空の例です)。
| 内訳 | 回数 | 平均 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 勝ち | 55回 | +4,000円 | +220,000円 |
| ふつうの負け | 40回 | −3,000円 | −120,000円 |
| 大きな負け | 5回 | −30,000円 | −150,000円 |
| 合計 | 100回 | −50,000円 |
勝率は55%で、勝ちの平均(+4,000円)はふつうの負けの平均(−3,000円)より大きく、95回分だけを見れば+10万円の勝ち越しです。それでも全体がマイナスになったのは、たった5回の大きな負けが−15万円を生んだからです。
もしこの5回の負けを、ふつうの負けと同じ−3,000円で止められていたら、合計は−50,000円ではなく+85,000円でした。成績の差は、勝ち方ではなく、5回の負け方で決まっていたことになります。
「大負けの集中度」とは
こうした偏りを1つの数字で表したのが、成績分析ツールの「大負けの集中度」です。
大負けの集中度 = 損失の大きい順で上位10%の取引の損失合計 ÷ 損失全体
上の例では、負けた45回の上位10%(5回)の損失が15万円、損失全体が27万円なので、集中度は約56%です。負けた回数の1割で、損失の半分以上を出していることになります。
損失の大きさがどれも同じくらいなら、上位10%の取引が占める割合も10%前後になります。この数字が大きくなるほど、少数の大負けが成績を左右していると読み取れます。何%からが問題という決まった基準はありませんが、自分の数字を月ごとに比べると、大負けが増えていないかの目安になります。
もう1つの目安: 最大損失は平均的な勝ちの何回分か
ツールでは、「1回の最大損失を取り返すのに、平均的な勝ちが何回必要か」も表示します。上の例で最大の負けが−4万円だったとすると、平均的な勝ち(+4,000円)の10回分です。1回の判断ミスで、10回分の成功が消えてしまうということです。
大負けの共通点を探す
集中度が高いと分かったら、次は大負けの取引を一つずつ見ていきます。ツールの分布のグラフで左端にある取引が、それにあたります。共通点としてよく見られるのは、次のようなものです。
- 損切りを先延ばしにした: 「戻るかもしれない」と待っているうちに、損失が広がった。
- 買い増しで平均単価を下げようとした: 下がるたびに買い足し、建玉が膨らんだところでさらに下がった。
- 建玉がいつもより大きかった: 同じ値幅の動きでも、建玉が大きいぶん損失が大きくなった。この点は建玉の大きさの記事で詳しく扱っています。
- 値動きが急な時間帯だった: 寄り付き直後や、ニュース・指標の発表直後など。
- 逆指値を入れていなかった: 損切りの価格を決めていても、注文として置いていなかった。
大負けの数は少ないので、全部を書き出しても数件で済みます。日付・銘柄・建玉の大きさ・そのときの状況を並べるだけで、多くの場合はっきりした共通点が見えてきます。
大負けを減らすためによく使われる方法
共通点が見つかったら、その状況を避けるルールを1つだけ決めて、次の月に試すのが現実的です。一般によく使われる方法には、次のようなものがあります。
- 新しく建てる注文と同時に、損切りの逆指値注文も入れておく
- 1日の損失がある金額に達したら、その日は取引を終える
- 1回に持つ建玉の上限を決めておく(株数計算ツールで上限を入れて計算できます)
- 大負けが集中している時間帯や銘柄では取引しない
どの方法が合うかは人によって違います。大事なのは、ルールを決めたあとに、もう一度記録を集計して、本当に大負けが減ったかを数字で確かめることです。
まとめ
- デイトレの損失は、ごく数回の大きな負けに偏りやすい
- 「負け上位10%が損失全体の何%か」を見ると、その偏りが分かる
- 大負けの取引だけを書き出すと、共通点が見つかりやすい