損切り幅から株数を決める考え方 ― 「1回に失ってよい金額」を先に決める
注文のとき、株数をどう決めていますか。「いつも500株」「余力いっぱい」「自信があるから多め」。こうした決め方だと、損切りになったときに失う金額が、取引ごとにばらばらになります。この記事では、失う金額を先に決めて、そこから株数を逆算する考え方を紹介します。
株数は計算で決まる
考え方はシンプルです。
1. 1回の取引で失ってよい金額(許容損失)を決める
2. チャートを見て、損切りする価格を決める
3. 株数 = 許容損失 ÷ 1株あたりの損切り幅
たとえば資金100万円で、許容損失を資金の1%(1万円)と決めたとします。2,000円で買い、1,960円で損切りすると決めたなら、1株あたりの損切り幅は40円です。1万円 ÷ 40円 = 250株。100株単位なら200株で、損切りになった場合の損失は計算上8,000円です(手数料や信用取引の金利、スリッページは含みません)。
この計算は株数計算ツールで、数字を入れるだけでできます。
順番が大事: 損切りの位置が先、株数はあと
よくある失敗は、この順番が逆になることです。「1,000株買いたい。1万円までなら負けてもいい。だから損切りは10円下」。これでは、損切りの位置が値動きではなく、持ちたい株数の都合で決まってしまいます。ふだんの値動きの範囲内に損切りを置くことになり、すぐに引っかかって負けが増えます。
損切りの位置は、「ここを割ったら、買った理由が崩れる」という値動きの根拠で決めます。そのうえで、その幅で許容損失に収まる株数を計算します。損切り幅が広い場面では株数が少なくなり、狭い場面では多くなる。これが自然な形です。
なぜ「資金の何%」で決めるのか
許容損失を資金の一定割合にしておくと、負けが続いたときの減り方が緩やかになります。資金の1%・2%・5%を許容損失にして、10回続けて損切りになった場合の資金の減り方を比べてみます(毎回、その時点の資金に対する割合で計算)。
| 1回の許容損失 | 10連敗後の資金の減少 |
|---|---|
| 資金の1% | −9.6% |
| 資金の2% | −18.3% |
| 資金の5% | −40.1% |
10連敗は大げさに聞こえるかもしれませんが、勝率50%でも100回取引すれば、6連敗程度は普通に起こります(ドローダウンと連敗の記事で計算しています)。そして、減った資金を取り戻すのは、減らすよりずっと大変です。
| 資金の減少 | 元に戻すのに必要な利益 |
|---|---|
| −10% | +11.1% |
| −20% | +25.0% |
| −40% | +66.7% |
| −50% | +100% |
1回あたりの許容損失を小さくしておくことは、負けが続いても取引を続けられる状態を保つための備えです。何%にするかは人それぞれですが、「何%にするか」を決めていること自体が、大負けを防ぐ第一歩になります。
建玉の上限もあわせて決める
損切り幅をとても狭くすると、計算上の株数は大きくなります。先ほどの例で損切り幅を10円にすると、1万円 ÷ 10円 = 1,000株、建玉は200万円です。資金100万円に対して2倍の建玉になります。
値動きが急な場面では、損切りの注文が予定の価格で約定せず、数十円不利な価格で約定することもあります。建玉が大きいほど、そのずれがそのまま損失を広げます。そのため、許容損失とは別に「1回に持つ建玉はここまで」という上限を決めておくと安全です。株数計算ツールに上限を入れると、許容損失と上限の厳しいほうで株数を出します。
まとめ
- 株数は「許容損失 ÷ 1株あたりの損切り幅」で決まる
- 損切りの位置は値動きの根拠で決め、株数はそのあとに計算する
- 許容損失を資金の一定割合にすると、連敗しても資金の減り方が緩やかになる
- 損切り幅が狭いときに建玉が膨らみすぎないよう、上限も決めておく