リスクリワード比とは。損切り幅と利確幅の決め方
注文を出す前に、「どこで損切りして、どこで利確するか」を決めていますか。その2つの幅の比をリスクリワード比といいます。この記事では、リスクリワード比の計算と、勝率との関係、そして「利確を遠くに置けば勝てる」とは限らない理由を解説します。
リスクリワード比の計算
リスクリワード比 = 利確までの幅 ÷ 損切りまでの幅
たとえば2,000円で買い、損切りを1,980円(20円下)、利確を2,040円(40円上)に置くなら、リスクリワード比は 40 ÷ 20 = 2.0 です。
損切りしたときの損失額を「1R」と呼ぶことがあります。この例で200株持てば、1Rは20円 × 200株 = 4,000円、利確したときの利益は2Rで8,000円です。損失を1単位として考えると、勝ち負けの大きさを比べやすくなります。
勝率と組み合わせて、期待値が決まる
リスクリワード比だけでは、勝てるかどうかは分かりません。勝率と組み合わせて、はじめて1回あたりの期待値が決まります(損益0円で終わる取引はないものとします)。
1回あたりの期待値(R) = 勝率 × リスクリワード比 −(1 − 勝率)× 1
勝率40%の場合で計算すると、次のようになります。
| リスクリワード比 | 1回あたりの期待値 | 1R = 1万円なら | とんとんになる勝率 |
|---|---|---|---|
| 1.0 | −0.20R | −2,000円 | 50.0% |
| 1.5 | 0.00R | 0円 | 40.0% |
| 2.0 | +0.20R | +2,000円 | 33.3% |
| 3.0 | +0.60R | +6,000円 | 25.0% |
勝率40%のときの、リスクリワード比ごとの1回あたりの期待値
同じ勝率40%でも、リスクリワード比が1.0なら1回ごとに平均0.2Rずつ減り、3.0なら0.6Rずつ増える計算です。表だけを見ると、「利確を遠くに置くほど得」に見えます。
利確を遠くに置けば勝てる、わけではない
ところが、実際にはそう単純ではありません。利確を遠くに置くほど、そこまで値段が届く前に損切りに引っかかる回数が増え、勝率そのものが下がるからです。
仮に、値動きが上下どちらにも同じ確率で動く(方向に偏りがない)とします。このとき、損切りまでの幅を1として、利確をその「リスクリワード比」倍だけ上に置くと、利確に先に届く確率は「1 ÷(1 + リスクリワード比)」になることが知られています。コンピューターで2万回ずつ試した結果も、ほぼこの値になりました。
| リスクリワード比 | 利確に先に届く確率(計算) | シミュレーションの結果 |
|---|---|---|
| 1.0 | 50.0% | 49.6% |
| 2.0 | 33.3% | 33.3% |
| 3.0 | 25.0% | 24.3% |
この確率は、上の表の「とんとんになる勝率」とちょうど同じです。つまり、値動きに偏りがない場面では、リスクリワード比をいくつにしても期待値は0のままで、手数料などを引けばマイナスになります。リスクリワード比は「勝ち方の形」を決めるものであって、それ自体が勝ちを生むわけではありません。期待値をプラスにするのは、入る場面の選び方のほうです。
損切り幅と利確幅を決めるときの考え方
そのうえで、損切り幅と利確幅を決めるときによく使われる考え方を挙げます。
- 損切りは、根拠が崩れる位置に置く: 「ここを割ったら買った理由が崩れる」という値動きの位置で決め、株数はその幅から計算する(損切り幅から株数を決める考え方)
- 利確は、値動きの節目を目安にする: 直近の高値・安値など、値動きが止まりやすい位置と、損切り幅の何倍かを見比べる
- 注文の前に、両方を決めておく: 含み益や含み損が出てから決めると、利確は早く、損切りは遅くなりがち
- 決めた比率と実際の結果を比べる: 記録上の平均利益 ÷ 平均損失(ペイオフレシオ)が、決めたリスクリワード比に近いかを確かめる。大きく下回っているなら、利確を早めているか、損切りが遅れている可能性がある
自分の数字で確かめる
株数計算ツールでは、エントリー価格と損切りを入れると、損切り幅の1倍・1.5倍・2倍・3倍で利確したときの価格と利益が表で出ます。注文前に、利確の位置がどのくらいのリスクリワード比になるかを確かめるのに使えます。
過去の取引については、成績分析ツールに実現損益のCSVを読み込むと、実際のペイオフレシオと勝率、そして「今のペイオフレシオなら、とんとんになる勝率」が表示されます。
まとめ
- リスクリワード比 = 利確幅 ÷ 損切り幅。勝率と組み合わせて期待値が決まる
- 利確を遠くに置くほど、届く確率は下がる。値動きに偏りがなければ、比率を変えても期待値は0のまま
- 損切りは根拠が崩れる位置、利確は値動きの節目を目安に、注文の前に両方を決めておく