勝率だけでは成績は分からない ― プロフィットファクターとペイオフレシオの見方
「勝率が高いのに、なぜかお金が増えない」。デイトレードではよくある悩みです。原因の多くは、勝率だけを見て、勝つときと負けるときの大きさを見ていないことにあります。この記事では、その大きさを表す2つの指標、プロフィットファクターとペイオフレシオを解説します。
勝率70%で負け越す例
2人のトレーダーが、それぞれ10回取引したとします(数字は説明のための架空の例です)。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 勝ち / 負け | 7回 / 3回 | 4回 / 6回 |
| 勝率 | 70% | 40% |
| 1回の平均利益 | +5,000円 | +15,000円 |
| 1回の平均損失 | −15,000円 | −5,000円 |
| 利益の合計 | +35,000円 | +60,000円 |
| 損失の合計 | −45,000円 | −30,000円 |
| 合計損益 | −10,000円 | +30,000円 |
勝率ではAさんがはるかに上ですが、お金が増えたのはBさんです。Aさんは小さく勝って大きく負けており、Bさんはその逆だからです。勝率は「何回勝ったか」しか表さず、「いくら勝ったか」を表しません。
プロフィットファクター(PF)
プロフィットファクター = 利益の合計 ÷ 損失の合計(絶対値)
上の例では、Aさんが 35,000 ÷ 45,000 ≒ 0.78、Bさんが 60,000 ÷ 30,000 = 2.0 です。
- 1より大きい: 利益の合計が損失の合計を上回っている(その期間は勝ち越し)
- ちょうど1: とんとん
- 1より小さい: 損失の合計のほうが大きい(負け越し)
PFは、合計損益の「質」を表す数字です。同じ+3万円でも、利益60万円・損失57万円(PF約1.05)と、利益6万円・損失3万円(PF2.0)では、安定感がまったく違います。前者は、少し調子が崩れただけで簡単に負け越しに転じます。
ペイオフレシオ
ペイオフレシオ = 1回の平均利益 ÷ 1回の平均損失(絶対値)
Aさんは 5,000 ÷ 15,000 ≒ 0.33、Bさんは 15,000 ÷ 5,000 = 3.0 です。「勝つときは負けるときの何倍取れているか」を表します。
損益がとんとんになる勝率
勝率とペイオフレシオには、次の関係があります。
損益がとんとんになる勝率 = 1 ÷(1 + ペイオフレシオ)
| ペイオフレシオ | とんとんになる勝率 |
|---|---|
| 0.33(Aさん) | 約75% |
| 0.5 | 約67% |
| 1.0 | 50% |
| 1.5 | 40% |
| 2.0 | 約33% |
| 3.0(Bさん) | 25% |
Aさんのペイオフレシオ0.33では、勝率が約75%を超えないと勝ち越せません。勝率70%でも足りなかったのはこのためです。逆にBさんは、勝率が25%を超えていれば勝ち越せる計算で、実際の40%には十分な余裕があります。
手数料や金利を考えると、実際にはこれより少し高い勝率が必要になります。
自分の数字で確かめる
成績分析ツールにCSVを読み込むと、勝率・PF・ペイオフレシオが並んで表示され、「今のペイオフレシオなら、とんとんになる勝率は何%か」も自動で計算されます。勝率だけを見て一喜一憂する前に、次の順で見てみてください。
- PFは1を上回っているか
- ペイオフレシオから出した「とんとんの勝率」と、実際の勝率の差はどれくらいか
- 平均損失が平均利益より大きいなら、なぜ負けが大きくなっているのか(大負けの影響はこちらの記事で解説しています)
まとめ
- 勝率は「回数」の指標で、「金額」は表さない
- プロフィットファクターは、利益の合計と損失の合計の比。1を上回れば勝ち越し
- ペイオフレシオは、平均利益と平均損失の比。これが小さいほど、高い勝率が必要になる
次の記事「期待値」で考えるでは、これらを1つの数字にまとめる考え方を紹介します。